古河市弓道会
長編弓道小説のご紹介
今回は、数少ない歴史弓道小説を二つ紹介します。
どちらも作家は「春吉省吾」で、上下2巻からなる長編歴史弓道小説です。(株)ノーク出版から刊行されています。作家は経営コンサルタントの傍ら、自身が剣道と弓道に研鑽を積みながらこの小説を書きあげています。両作品とも、現代では想像もつかない厳しい鍛錬のもとに弓道を追及していった感動小説です。私は上野浅草にも三十三間堂があり、「通し矢」が競われていたことをこの小説で初めて知りました。弓道の興味のある方は必見です。
1.「冬の櫻」
徳川三代将軍家光の時代で、会津の天才弓術家「円城寺彦九郎」を主人公に物語が綴られています。会津藩主「保科正之」の家臣になり、京都三十三間堂の「大矢数」に挑戦します。弓道の物語だけでなく、江戸城本丸が焼けた明暦の大火の詳細や、保科正之公の活躍、とりまく様々な女たちの活躍が輝いています。また、弓技・弓具の粋を極めて、いかに遠くに矢をとばすかにも挑戦しています。
2.「夏の熾火」
三人の天才弓道家、有名な射法訓を残した「吉見順正」、若くして病死した美男子「葛西薗右衛門」、有名な京都三十三間堂の大矢数を好敵手の尾張の星野勘左衛門と競った紀州の「和佐大八郎」の活躍が語られています。まさにその死闘が圧巻です。弓道に関するノウハウが焼失したりして現代に残らなかったことが残念でなりません。
各地の弓道大会 その3
小山市の小山市弓道大会(2018年11月4日 小山市営弓道場)に行ってきました。
地元の他に近県の個人や団体も含めて、約150名の参加者数でした。曇りがちでしたが、寒くもなく穏やかな天気のもとで楽しんできました。弓道場は小山市役所の敷地にあり、昭和40年築の歴史ある道場です。大変のどかな思川の河川敷に隣接し、ほとりには小山氏の祖・小山政光とその妻寒川尼の像が佇んでいます。
的場の看的所はこんな感じです。的中か否かを係の人が見極めて記録係に伝えます。
競技は、前半戦の一立(ひとたち)目の立射四矢と、昼休憩後の後半戦二立目の立射四矢の的中数の合計で順位が決まります。上位入賞者には賞状と「おやま和牛」の賞品が贈られました。
各地の弓道大会 その2
大田原市の与一弓道大会(2018年9月9日 玄性寺与一弓道場)に行って来ました。
弓道場は玄性寺の境内にあり、那須与一公の偉業を顕彰するお祭りの一環として弓道大会が開催されます。
墓所には那須与一公のお墓があります。
弓道大会と並行して歌いながらの餅つきが行われ、大会参加者にお弁当と一緒につきたてのきなこ餅が配られる楽しい大会です。
大会のオープニングでは、前年の優勝者による甲冑武者が現れ、扇の的に矢を射かけて大会が始まります。上級者はこの晴れ舞台を目指して優勝を争うわけです。
なんと的が赤い扇の形をしていますね!
要の部分に矢が当たると「要賞」の賞品が貰えるんですよ!
各地の弓道大会
岩槻弓道大会(2018年7月22日 岩槻文化公園弓道場)に行って来ました。
射場と的場の様子です。
出番待ちで緊張しています。
上位入賞者はこの岩槻人形が貰えます。
古河市弓道会について
弓道は日本古来の伝統文化の一つです。弓や矢は、現代でも魔除けや占いに広く根付いています。礼に始まり礼に終わると言われ、入場から退場まで、座射か立射か、道着か和服着用かで作法が定められています。射自体は射法八節という一連の動作を正しく行うことによって的中を目指します。
競技は、弓の強さを自分の体力に合わせて選ぶので、年齢・性別・身長・体重に関係なく行われます。的までの距離は28m、的の直径は36cmという同一条件のもとで的中数を競い合います。弓道は技術だけでなく、心と体の自己管理能力の向上という特性から、 「射即人生」とも言われています。
古河市弓道会の稽古場ですが、市営の弓道場が無いので、古河ニ高の道場をお借りして、土日の午後、稽古に励んでいます。審査において昇段を目標としたり、県内外の大会に参加して入賞を目指したりして、お互いの射技の向上に努めています。
的に向かって弓を引き絞った「会(かい)」 巻藁(まきわら)による射法の稽古
弓道が語源のことば
弓道に由来することばが以外に多いのに驚きます。たとえば・・・
- かけがえの無い・・・「かけ」は右手にはめる鹿革製の手袋を指します
- 手ぐすねを引く・・・「くすね」は弓道具に使用する接着剤です
- 手の内・・・左手(弓手)で弓を握る方法のこと
- 図星・・・近的用の的の一つに「星的」があります
- 一矢を報いる
- 足踏み・・・弓の引き方の射法価値節の最初の動作
- 矢継ぎ早
- 的を射る
- 満を持す・・・「会」で矢が自然に離れる時を待ちます
- 輪を掛ける・・・弦に輪を作り、弓に掛けて弦を張ります
などなど
弓道とアーチェリー
弓道(和弓)は、矢を射るという点でアーチェリー(洋弓)と似ていますが、似て非なるものです。アーチェリーには左利き用や照準器などの道具がありますが、弓道にはありません。また、精神修養の面からも大きな違いがあります。
柔道が世界的に「JUDO」として広まっていますが、弓道が「JAPANESE ARCHERY」では情けない。やはり「KYUDO」として広まることを願っています。